Acoustic Guitar

アコースティック・ギターの主な種類と選び方

1840年代のアメリカ・ニューヨークで誕生したアコースティック・ギター。

アコースティックギターの相場

アコースティックギターの場合、価格帯で大きく品質の差があります。相場を把握してから選ぶと失敗する事が少ないためお勧めです。

アコースティックギターの価格帯 (2024年現在)

価格から見るおおまかなギターの目安は以下の通りです。2022年以降から新品中古問わず約1.5~2倍程度値上がりしています。
価格帯目安
3万円未満見た目だけのいい加減な作りで、重要な部分が欠けている演奏困難なギターがほとんどです。この価格帯のギターの購入は避けましょう。中古で探した場合も、何らかの致命的な不具合を抱えたギターが多い価格帯です。
3~7万円台新興国で安価な素材を使って大量生産された初心者向けギターが多い価格帯です。作りがルーズな場合が多いので購入後にサドルを削る弦高調整などが必要です。中古の場合、メーカー製の初心者用ギターが買える可能性があります。
7~15万円台ギターメーカーが初心者向けに安い素材で作ったギターが多い価格帯です。購入後、ほぼ無調整でそのまま使える場合が多いです。中古で探した場合、日本製の標準的なギターが購入出来る価格帯です。
15~30万円台何ら不自由のなく良い音で演奏出来る標準的なギターが多い価格帯です。中古で探した場合、日本製の上等なギターや、アメリカ製の標準仕様のギターが購入出来る価格帯です。
30~50万円台上等な素材で職人によってしっかりと作られた最上級ギターが多い価格帯です。中古で探した場合、希少価値があるものであったり、豪華な装飾のギターが購入出来る価格帯です。
50~100万円台豪華な装飾が施されていたり、希少な素材で作られたプレミア価値のあるギターが多い価格帯です。中古で探した場合は、歴史的価値があるビンテージギターが購入出来る価格帯です。

産地別の相場

アメリカ、日本、中国、インドネシア、メキシコが主な生産地として知られています。
製造国主なメーカー低価格帯
初心者向け
中価格帯
標準仕様
高価格帯
1点物
アメリカMartin
Gibson
Taylor
Collings
Larrivee
15~30万円30~50万円50~100万円
日本K.Yairi
Takamine
Morris
Headway
寺田楽器
Asturias
YAMAHA (上級者用)
Zemaitis (神田商会)
History(島村楽器)
10~15万円20~30万円30~50万円
イギリスLowden
Sheeran By Lowden
10~15万円無し50~100万円
オーストラリアMaton
Cole Clark
無し25~40万円40~80万円
カナダGodin
Seagull
Art&Lutherie
10~15万円30~40万円無し
メキシコMartin (初心者用)
Taylor (初心者用)
6~10万円15~20万円無し
中国
インドネシア
Epiphone
Morris (初心者用)
Headway (初心者用)
YAMAHA (初心者用)
aNueNue
Fender
ibanez
PRS SE
D'Angelico
Zemaitis (初心者用)
Eastman
Bromo
Legend / Aria
James(島村楽器)
Sepia Crue
1~5万円10~15万円20~30万円

選び方その1 - 素材

ギターを選ぶ上で最も分かりやすい違いとして、素材の違いがあります。 特にボディ部分のトップ材とサイド材、バック材はアコースティックギターの音への影響がかなり大きいので、選ぶ基準の一つとするのがお勧めです。 大きく分けて種類は2種類あります。

単板 (ソリッド、無垢材)

木から切り取った1枚板の木材の事を指します。無垢材とも呼ばれます。中~高価格帯のギターで使用されます。ギターで最も理想的な響きになる素材です。

木質素材

低価格なギターでよく使われる木質素材。単板と比べると加水分解などの経年劣化も起きやすく、音がこもった感じになり響きにくいデメリットがあります。

合板 (ラミネート)

薄くスライされたス木材の端材を繊維の方向を交互に変えながら重ねて、接着剤で固めた木質材料。 表面に綺麗な木目を貼っているため、見た目は高級なギターとさほど変わらないメリットがあります。 低価格のギターで最もよく使われます。

単板積層材 (LVL、テックウッド、エンジニアリングウッド)

木材の端材を薄くスライスして、同じ繊維の方向で重ねて、接着剤で固めた木質材料。 ストライプの綺麗な見た目になるメリットがあります。 近年、ミニギターや初心者用ギターのネックや指板でよく使われます。

ファイバーボード系 (HPL、リッチライト、メラミン化粧板)

木材を繊維まで砕いてフェノール樹脂などで固めたプラスチックに極めて近い木質素材。 素材としては黒いボール紙の様な見た目で、指板に使う場合はそのままの黒い状態で、ボディに使う場合はその上に木目のプリント紙などが貼られます。

選び方

予算に余裕がある場合はすべて単板のものを選びましょう。安いものを探している場合は、最も音への影響が大きいボディのトップ材が単板であるものを探しましょう。
ボディ・トップ材 / サイド&バック材音色ギターの価格
単板 / 単板10万~100万円
単板 / HPL6~12万円
単板 / 合板3~12万円
HPL / HPL×6~10万円
合板 / 合板×1~3万円

選び方その2 - 形の種類

多くのアコースティック・ギターは以下のMartinとGibsonによる形が基本となって作られています。ボディサイズが大きいほど、出せる音域が広くなります。 現在、ドレッドノートと000(オーディトリアム)がアコースティック・ギターで最もポピュラーな形です。
種類発案
メーカー
ボディ
サイズ
著名なモデル
スーパージャンボ
Super Jumbo
Gibson特大Gibson SJ-200
Guild F-55
Taylor Grand Orchestra
ドレッドノート
Dreadnought
(スクエア・ショルダー)
MartinMartin D-18
Martin D-28
Gibson Hummingbird
Gibson Dove
ジャンボ
Jumbo
(スロープ・ショルダー、
ラウンド・ショルダー)
GibsonGibson J-45
Taylor Grand Pacific
0000
クアドラオー
(グランド・オーディトリアム)
MartinMartin J-40
Martin M-36
000
トリプルオー
(オーディトリアム)
MartinMartin 000-18
Martin 000-28
Martin OM-18
Martin OM-28
00
ダブルオー
(グランド・コンサート)
MartinMartin 00-18
Martin 00-28
Gibson L-00
0
シングオー
(コンサート)
Martin極小Martin 0-18
Martin 0-28

選び方その3 - スケール

ナットからサドルまでの長さの寸法を指します。演奏部分の縮尺(サイズ)が変わります。 長いと中低音が豊かになり、演奏に強い力が必要になります。短いと高音域が豊かになり、弱い力でも演奏が出来るようになります。 現在、25.4"が最もポピュラーです。
スケール(インチ)mm換算採用モデル
25.5"647.7mmGibson SJ-200
Gibson Dove
25.4"645.16mmMartin D-28
Martin D-18
Martin OM-28
Martin OM-18
24.9"632.46mmMartin 000-28
Martin 000-18
Martin 00-28
Martin 00-18
Martin 0-28
Martin 0-18
24.75"628.65mmGibson J-45
Gibson Hummingbird
24"609.4mmMartin Junior
23.5"596.9mmTaylor GS Mini
23"584.2mmMartin Little Martin
22.75"577.85mmTaylor Baby Taylor

選び方その4 - 木材の品種の組み合わせ

アコースティックギターは木材の品種によって大きく音色が変わります。主に以下の4種類です。北米や中南米産のものが高級材とされます。
組み合わせボディトップ材サイド&バック材指板材ネック材音の傾向
Martin 28系スプルースローズウッドエボニーマホガニー高音域が豊か
Martin 18系スプルースマホガニーエボニーマホガニー低音域が豊か
Gibson系スプルースマホガニーローズウッドマホガニー中低音域が豊か
Gibson SJ-200系スプルースメイプルローズウッドメイプル中音域が豊か

代替材

低~中価格のギターでは以下のような似た性質や音色を持つ木材が使われることがあります。

マホガニー系

スパニッシュ・シダー、アフリカン・マホガニー、サペリ、ニャトー、ユティレ、コア

ローズウッド系

パフェロー

エボニー系

リッチライト(樹脂材)、ローレル

メイプル系

ウォルナット